2024年9月16日
もう十数年前の事です。
海外在住時に交通事故で一辺に肩と膝と首にけがを負い、一年かけて4回の手術を繰り返す羽目になりました。その際担当になった理学療法士さんが大変変わった施術をしてくれたのです。
彼女のリハビリは可動域を増やすような動きではなく「動かない腕に風船が付いていると思って」と言ってふわーっと動かない場所を泳がせるのです。
彼女のリハビリが終わると不思議なくらいそこが柔らかくなり、楽になっていました。
ある日あまりに不思議なのでこれは何という手法かと尋ねたところ、
「フェルデンクライスよ」と教えてくれました。
彼女が独自に考えた手法だろうと高をくくっていた私は、彼女の口から出てきたその言葉に導かれるように興味を持っていきました。
何故ならそのフェルデンクライスなるものをやっていると必ず心が静まる瞬間があるからです。静まるというより静まり返るという表現の方が適当かも知れません。
異国の地で言葉が十分通じず不安のどん底で治療を受けていた私にはこの平安なひと時が必要でした。この時間があったから私は怪我の治療を乗り越えることができたのかもしれません。
私を救ってくれたこの「フェルデンクライス」を全部知りたい、そして人に伝えたいと思うようになりプラクティショナーになる道を選びました。
一介の主婦が怪我の経験以外何の知識もないまま飛び込んだのですから学びには苦労がありました。でも学びたくて学ぶとはこういうことなのだ、と痛感する毎日でした。
フェルデンクライスは、いっきにブームになるような派手なメソッドではありません。
レッスン内容と同じように地道に少しずつ人々に伝わっていくのだろうと思っています。が、少しでも多くの方にこの心地の良い静けさを与えてくれるメソッドを伝えていきたい、と思っています。