フェルデンクライスメソッド

フェルデンクライスで鶯になろう?

フェルデンクライスで鶯になろう

玉川学園には春になると鶯の声が響き渡ります。この声、ひとえに美しい!!!
ああ、こんなに綺麗に歌えたらなあ、といつもうらやましくなります。でもなぜ鶯の声は美しいのか、いや、美しく聞こえてくるのでしょう?

少し話は変わりますが、私は上手に歌を歌いたい、と声楽に興味を持ち習い始めて20年以上が経ちます。前にどこかに書いたような気がしますが、声楽はおわかりのとおりに人の体が楽器なので勿論楽器の中身を見ることが出来ません。ですので先生方のご注意が、理解しがたいことが多いのです。お腹で歌って、とはよく言われますが、ほかには例えばこんな感じです。高音の声を後ろから回して。とか前で歌って、とか。

要するにご指導がみな先生の感性からくる言葉からなっていて、生徒ととらえ方が違えばずっと何の意味か解らないまま終わってしまうこともあります。
因みに私はお腹で歌って、の意味がわかるまで数年かかりました。後ろから回して、は20年以上かかりました。今から考えると歌を始めてからほとんどはわからないまま歌っていた、ということなんですよね。

ああ、全部わかったあ!!!と思ってホールで歌ったら、え?こんなばずではなかった、ということになってしまったことも・・・。どうも、歌は自分に聞こえてくる音と違う音で皆さんには聞こえているらしいのです。はっきり言ってショックでした。20年以上も何をやっていたのだろう、と思いました・・・。

しかし、鶯は、上手に歌おうなどと考えていやしません。ただ、種の保存のために必要で鳴いているのです。考えてみれば人間の赤ちゃんも同じですよね。
彼らはお腹がすいて必要で泣いているのです。何も考えていません。鶯も赤ちゃんも純粋にただ声を届けようとしているから声は澄み渡ります。

人は育って知恵をつけてくると段々上手にやるには、とか美しくやるには、とか、色々なことを考えるようになります。それが、うまくできることを邪魔してしまうのかも知れません。大人になってから声楽を始めた私にはただ、あーっ という声を出すことがどんなに難しかったか・・・。

フェルデンスライスでは上手にやろうとする考えを脇に置いてレッスンをしていきます。難しいように感じられるかもしれませんが、案外そのヒントは身近に転がっているかも知れません・・・