例えば体を前後に転がす時、普通は頭や足は体の動きについてきて、一緒に回転しますよね。でも、この動きを敢えて分けることをフェルデンクライスでは動きの分化と呼んでいます。頭を止めて転がったり、足を止めて転がったりするわけです。この分化の動きをやると元の転がる動きの質が変化することがあります。フェルデンクライスのレッスンの中に時々顔を出す動きの種類です。
私は長年、この分化の動きはどんな場面で役に立っているのだろうと考えてきました。足の動きが分化されていれば、歩きやすくなります。体の動きが分化されていれば、ひねりの動作が楽になります。ひねりが改善すれば当然歩行の改善に繋がります。ゴルフだってやりやすくなるでしょう。私の分化に対する意識はこんな緩い感じだったのです。知人のあるこわーい話を聞くまでは・・・。
先日ある免許更新センターでのこと。知人には違反があったので、免許を更新するのに違反者講習を受けなければならず、2時間事故場面のビデオを見せられたとのこと。その中に何故高齢者がアクセルとブレーキを踏み間違うのかという実例があったのだそうです。それによると、高齢者は体が硬くなる。バックで発信しようと後ろを振り返ったときに、体の硬さ故ブレーキにのせたつもりの足は自然にアクセルの位置にずれてしまう。が、運転者はそれに気づかないままアクセルをブレーキと思ってバックギアに入れて踏み込んでしまう。止まると思っていた車が動き出すのでパニックを起こし更にブレーキと思ってアクセルを踏み込む。こういう流れでペダルの踏み間違いによる事故が多発しているのだそうです。
怖い話です。体の柔軟性がこんなに大切なことだったとは・・・。股関節や足首の動きが分化されていれば起きにくいと考えられるこの事態。しかもこの話、違反者講習に出た人しか聞くチャンスがない?とは・・・。愕然とすると同時に私の数少ない情報網からでもこの知識を広げていかなければならないと思い、ここに載せさせて頂きました。早速足や足首の分化のレッスンはどれを選ぼうかな、と考えているところです。