フェルデンクライスメソッド

鼻孔を通る空気

鼻孔を通る空気

不覚にも、初めて新型コロナに感染してしまいました。副作用の為ワクチン接種が3回目以降受けられなくなり、感染にはかなり気を付けていたつもりだったのです。ですが、ある日の観光地の混んだスーパーでマスクが壊れてしまい、そわそわと落ち着かない気持ちで初マスク無し買い物。今になって思うとその時感染したとしか思えません。

数日後喉に違和感を覚え、時折咳があ! 思う間もなくその夜には38度越えの熱。風邪を引いても発熱が殆どなかった私は、これはいつもと違う、と翌日発熱外来へ。診断は新型コロナ陽性、でした。
体中の節々という節々が痛み、床へと引きずり込まれそうな感覚にベッドに倒れ込み、なすすべもなくそのまま仰向けに寝ていました。なぜか鼻に息が入るたびに鋭い痛みを感じずっと息を吐いていたい感覚に襲われ、そっと息を吸っては数回に分けて吐息を吐くという呼吸を繰り返しながら、数日前のフェルデンクライスレッスンで鼻孔に空気が通るのを感じてください、というお声がけをしたばかりだなあ、と思い出しました。

呼吸は吸う息と吐く息で感じる温度が違います。息を吸うときには空気の流れで鼻孔の温度が下がり、体内で暖められた息が出る時には鼻孔は暖かくなります。この呼吸の温度差に注意を向けることで呼吸が改善したりもするのです。
ああしかし、この日はとてもそんなことを感じている余裕はありませんでした。この世の辛さの中に息を吸うことが辛いという一項目もあるのだ、ということを学びました。

私がレッスンで生徒さんにお声がけする時にいつも頭をよぎるのは、自分が今まで経験してきた感覚、痛み、学びでした。それがどんなに辛い経験であったとしてもきっとフェルデンクライスプラクティショナーとしての私の血となり肉となるのだと信じてやってきました。ですから今回の辛い経験もいつかレッスンでお声がけする時に役に立つ日がやってくることでしょう・・・。