フェルデンクライスメソッド

私の職業フェルデンクライス(入院2)

私の職業フェルデンクライス(入院2)

地下室から私の体を運び上げるのには一台分の救急隊員では間に合わず、結局もう一台の救急車のヘルプを呼び、2台分の救急隊員の方たち6名で私を地下から引き揚げてくれました。感謝と申し訳ない気持ちと。ああしかし痛い!!けたたましい絶叫の後担架に乗せられた私は、こうこうと上る日の光を真正面に受け、ああもう日が高くなる時間なのだ、と真夏の太陽を両腕でよけながら、一方では、ああどうぞこの担架が揺れて私が絶叫を上げずに済みますよう、と心から願いながら、普段はフェルデンクライスのレッスンの入り口である地下からの外階段を一段、又一段、と引き上げられていったのでした。

無事に階上へと体が上がり、もう一方の救急車の隊員たちは引き上げていきました。
感謝!です。うわあ、近所の方々から見られていないだろうかとはらはらしましたが、そんな間もなく私の体はストレッチャーに移されて涼しい救急車の中へ。付き添いの時には縦に眺めてていた車内の景色を初めて仰向けで眺めながらの搬送となりました。
車内で、どう転んだのかを聞かれ、右に転んで大転子を打ちました、と答えると、一般にはあまり使われない骨の名前を知っていることに驚かれ、お仕事は何ですか?と聞かれました。きたきた、この質問!フェルデンクライスの教師なんです。と答えると、え?それは何ですか?と。そこで私は簡単にフェルデンクライスについてをお話しすると車内は数分フェルデンクライスの話で湧きました。
ですが話している間にも道の段差の度に足の付け根には激痛が走ります。救急隊の方が気を使って次段差です、と教えてくれ、静かに走行してくださり、またまた感謝!でした。

搬送先は地域でも救急医療に力を入れている病院。ああしかし到着後何度大声をあげなければならなかったか覚えていません。レントゲンを撮らなければならなかったからです。
私の体の中を見た結果、大腿骨の根元が折れて足が深く入り込んでいることがわかりました。変なことを言いますが、救急車を呼んでしまってちゃんと怪我をしていたことがわかって、安堵するやら痛いやら今後の予定をどうしようかという不安やらで、頭の中はごちゃごちゃになっていました。せめて骨折が軽く、手術が必要でも10日程度の入院で済めば、と、そんな小さな期待もその時は抱いていたのです。血圧を測ると、最高血圧はなんと195。こんな血圧は体験したことがありませんでした。これはもしや危険なのではないか。ちゃんと呼吸をしなきゃ、とフェルデンクライスの考えがようやく見え隠れするのでした。

担当の医師から、これでは歩けませんから、入院です、人工股関節を入れます、と告げられました。私はこの時丁度叔母の骨折の事を思い出していました。彼女はしりもちをついて大腿骨を折り手術を受けたもものの、術後に痛みが全くなくスタスタ歩いて、行った先に杖を忘れてくる位に楽なケガで1~2週間ほどで退院してきたという経緯を覚えていたので、私はもっと若いのだから、きっと大丈夫。すぐに退院できるわ、とばかり思っていたのです。
ですが人工関節となると話は違います。人工関節を入れれば入院が長くなることは目に見えています。めちゃくちゃショックで、運命に逆らって逆方向に逃げ出したいような気持になりました。

話は飛びますが私の首には人工骨が二つ入っています。一辺の手術で二つ入れられたのですが術後の痛みが酷くて普通の生活が可能になるまでに相当年数かかってしまったのです。これを覚えていたのでまたこれを繰り返すのかと思ったことでのショックが大きかったのです。できれば人工骨は入れずにつないでいただくだけで退院したいと思いました。
ですが先生のお話によると大腿骨は大転子の下を折った場合繋ぐ手術で元に戻るが、根元を折ってしまうと人工骨に変えなければならないのだそうです。
なぜなら根元の骨には血流が少なく繋いでもうまくいかないとわかっているからだそうです。ショックを受けはしましたが、勉強になりました。そして私は又自分の体を張って体の勉強をしてしまったなあ、と苦笑いをしたのでした。